非エンジニアの創業者が一人目のエンジニアを採用するために

プロダクトを作りたいけどエンジニア採用に困っている人に向けて『一人目のエンジニア採用』について書いてみました。

正直、具体的な方法論とは言い難いですが、何かの足しにでもなれば幸いです。

「知り合いに手伝ってくれそうなエンジニアがいないのに起業するなんて…」という点については触れません。ビジネスにおいて、十分な専門知識を有するチームが揃っている方が稀だと思うので、「これなら出来そう」よりも「これをやった方が良い」を優先した見切り発車も個人的には悪くないと思います。

プロダクトを作りたいけどエンジニア採用に困っている

「どの言語で作るのが良いのか?」「優れたエンジニアをどのように見極めたら良いのか?」など、色々な疑問があると思います。

風の噂では、優秀なエンジニアを見極める手段として「GitHub で100個以上のスターが付いている」「有名なブログ記事や出版物がある」「休日でも趣味でコードを書いている」と聞いたことがあるかも知れません。これらの指標は一定の参考にはなると思います。一方で、誰が見てもわかりやすい指標だけで、採用を判断できるのでしょうか? 何かすごい資格を持っていればそれだけで万事OKでしょうか?

わかりやすい指標は検索スクリーニング(大量データの中から余計なものを取り除く)には役立つと思いますが、本当に欲しいのは「自分でコントロールできる採用の判断基準」ではないかと思います。

非エンジニアがエンジニアの技術力を見極めることは出来ない

まず、現実的な前提に立ち戻りたいと思います。エンジニアに限らず、専門性のある能力を素人が評価することは無理だと思います。一方で、あなたが今から専門家になるには大変非効率です。

そもそも、ビジネスは専門性の異なるチームワークが必要になるものだと思います。「技術力を見極める」のではなく、チームメンバーもしくはビジネスパートナーとして信用できるかどうか考えるのが本質的ではないかと思います。『口が上手いだけで、実は全然技術力が足りなかった』という心配もあるでしょうが、それは技術力が見極められなかったのではなく、口が上手いということに気がつかなかっただけだと思います(面接の場だけ誤魔化してウソをついてやり過ごす人を見抜くのはそもそも難しい)。

「知り合いのエンジニアに面接を頼むのはどうだろうか?」

心強いと思いますが、採用を決めるのはあなたです。知り合いのエンジニアが「OK」といった人を採用するだけで大丈夫でしょうか? 結局、一緒に仕事をするのはあなたなので、「何を基準に採用を決めるのか?」よく考えておく必要があります。

非エンジニアがエンジニア面接で確認すること

採用したいということは、その人に何かの仕事を任せたいはずです。まずは、任せたい仕事を可能な限り具体的に、詳細に、テキストにすることをお勧めします。エンジニアに作って欲しいプロダクトのイメージがあるはずです。その作りたいものの要件を明確にして欲しいです。

「〇〇をやりたい。なぜなら〇〇だから。〇〇は大事だけど〇〇は重視しない」

特に、why, what を明確にしましょう。そして、色々やりたいことが盛りだくさんになると思うので、優先順位を明確化すると良いと思います。

あとは、その内容を面接相手に伝え、不安や悩んでいることを率直に相談してください。そして「この条件で、どのようなシステム構成で、どんな言語・技術で作りますか?それはなぜですか?」と質問しましょう。 相手が優れたエンジニアなら良い解決策を提案してくれると思います。 その内容に納得できればその人を採用しましょう。不安なところは気の済むまで質問し、もしその説明がわからなければ不採用で良いと思います。

大事なのは、相手の提案内容を自分が責任を持って承認するという行為です。

エンジニアに限らず、他人を見極めるのはそもそも難しい。おまけに、専門外のスキルは分からん。でも、自分が最終責任者なのだから、責任者に対して適切な説明ができない人は要件に合わないと思います。言い換えれば、非エンジニアがエンジニア面接するということは 「自分の専門分野外のプロフェッショナルに権限委譲を行う」 ということです。

結果として、採用の間口を広げるために、エンジニアの採用確率を高めるために 「自分が相手(エンジニア)の説明を理解できるように勉強する」 のは大事だと思います。無理して、プログラミングを覚える必要もないし、ITの専門家を目指す必要もないと思います。それよりも、自分の専門分野外のプロフェッショナルと上手に仕事をする方法を学ぶことだと思います(これが一番難しいかも知れないけれど…)。

おわりに

エンジニアと話せない、エンジニアの言っていることがよくわからない。もし、そう思うのであれば、勉強不足です。エンジニアの求人内容を理解できる程度の知識は必要だと思います。ぜひ、エンジニアが使う言葉を学んで欲しいです。エンジニア以外の専門家と話す際も、ある程度はその世界の言葉を使うと思います(例えば、税理士と会話する時には会計用語を使う)。

エンジニアには、どんな質問でも馬鹿にせずに答えてもらいたいと思ってます。一方で、説明してもらえることだけに甘えず、自分の言葉として使えるように勉強して欲しいです。あなたの学ぶ姿勢はエンジニアに見られていると思います。それは「あなたはビジネスパートナーとして信頼に値するのか?」と厳しい目で見られると思います。