「忙しいからカイゼンできない?」 ちがう、カイゼンしないから、忙しいのだ。
情報を共有すること、情報を整理することの意義について社内向けに共有した内容を紹介しようと思います。
LiB では全社の情報共有にQiita::Team を活用しており、創業間もない頃から使い始めて2年以上が経過しています。Qiita::Team には、セールス、マーケター、デザイナー、エンジニア、経営管理など玉石混合のおよそ70名が参加していますが、情報を共有・整理することに慣れていないメンバーの方が多いです(実際にどんなメンバーがいるかは、Wantedly のインタビュー記事を見ていただければ伝わるかと思います)。
結果、知りたい情報があるのに検索できない、最新の情報がどの記事なのかわからない、一度しか使われないタグが乱立、などの問題が発生しています。
見ているとエンジニアの方がQiita というツールをうまく活用しています。しかし、みんなの投稿を観察して感じた “違い” は「インターネットの在り方」と「カイゼンのマインド」を知らないからではないかと思いました(活用するための具体的なtips も必要ですが)。
そこで、エンジニアの「技術」ではない大切な仕事について、社内に向けてポエムしました。社内向けの言い回しなのはご了承ください。
情報循環を整える「自警団」
文書は誰かに読んでもらうことに価値があります。そのためには2つのことを実現する必要があります。
- 誰かの読みたいことが書かれている
- 必要な時にその文書が見つかる
意味の分からない文書は読まれることはありません。しかし、良い内容でもその文書が読み手に見つけてもらえなければ読まれることはありません。
昨今のIT ベンチャーでは「読まれる文書」を増やすために自警団なる取り組みがあります。チーム全体の情報共有を活性化するのが自警団の目的です。esaからその他カテゴリを撲滅したという記事から、引用の引用1になるのですが、
Wikiの格言(要出典)に「Wikiのもっとも良い書き手とは、それを読みたい読者である」みたいなのがあって。「自分が読みたい文書にしていく」活動がWikiなのでした。
(中略)
まあ、Wikiのページがちぐはぐなチームや組織は、実際のところもちぐはぐなのです。
という事なのです。
整理・整頓は最優先タスク
Qiita が散らかっているということは、机の上も散らかっている。きっと仕事も散らかっているのでしょう。そんな中、エンジニアが率先して自警団の活動を実践しています。編集リクエストが届いたら面倒臭がらず、暖かく受け止めてください。
- 「Qiita の整理は仕事なのか? 」
- 「それはエンジニアの仕事じゃない 」
- 「そんな暇があるなら、○○機能を作ってよ! 」
いえ、エンジニアの中でも大切な仕事の1つです。組織で働く人みんなの大切な仕事の1つです。なぜ、それほど大切なのか?
平均的なビジネスパーソンが1年間働くうちの「モノを探している時間」は150時間2と言われています。1日の業務が8時間であれば約19日になります。要するに、 整理・整頓ができない人は約1ヶ月分の仕事をサボっている ことになります。LiB には70名ほどのメンバーがいます。誰かがちょっとだけ整理・整頓をサボることは、会社全体で5年を越える時間を浪費することに相当します。
皆さん、忙しいですよね?
5年間もモノ探ししていたら、このポエムを読む時間はありませんよね。
カイゼンしないから、忙しいのだ
「カイゼン」とは何か?
「カイゼン」とは、トヨタ自動車の「ムダを徹底的に排除するという思想」が源流です。
ムダとは、ある場合はコミュニケーションであり、ある場合は作業そのものであり、ある場合は過剰品質であり、それぞれの要素が複雑にからみ合い、ムダがムダを生み、やがては事業そのものを蝕んでいきます。
「忙しいからカイゼンできない?」
ちがう、カイゼンしないから、忙しいのだ。
時間ができたらカイゼンしよう
↓
ムダが放置される
↓
ムダがムダを呼び、さらに忙しくなる
↓
カイゼンされないから、いつまでも時間はできない
人間は止まるのが難しい。忙しいからこそ、一度止まってカイゼンすることが大切。
完璧は達成できないが、諦めてはいけない
「どこまでやれば良いですか?」は愚問です。
絶えずカイゼンし続ける以外にないのです。
Wikipedia には、完璧な記事について説明したページがあります。どうしたら完璧な記事を書くことができるのか、丁寧に解説しています。
そして、その結論にはこう書かれています。
しかし・・・こんな記事は・・・存在しません。
決して、これらの様々な基準を全て満たすように頑張らなければならないと考えているわけではありません。完璧な記事は、観念的な理想であり、人間には書けません。しかし、完璧にはほど遠い記事であっても、ウィキペディアに投稿することは非常に重要です。そして、様々な方法で完璧でない記事を改善することができるということも忘れてはいけません。
僕なりの解釈では、
「どうしたらもっと良く出来るか?」
と問い続けることがカイゼンの第一歩です。
情報を発信する価値
最後に、Qiita を使って情報発信することの意義についての僕なりの考えをつらつら書いておきます。
- キャリアパートナーの業務ノウハウや転職事例創出のための分析記事
- セールス業務向けに内製した社内システムの活用方法、機能説明の記事
僕自身は求職者の方と面談するわけじゃないけれど、業務システムを使うこともなければ機能開発することもないけれど、Qiita の記事は読んでいます。「いいね 」し忘れることも多々ありますが、読んでいます。
たまたま時間があったから読んでいる訳ではないのです。自分の利益のために、多くの情報に目を通しています。どこかにLiBzCAREER というサービスをよくするためのヒントが転がっていないか。たとえ社内向けの業務システムであっても、うまく行っている機能があればLiBzCAREER にパクって搭載してお客さんにも使ってもらおう。それが理由です。
僕がQiita に投稿するのは、自分の利益のためです。誰かが読んでくれて間違いを指摘してくれたり、より良いアイデアや方法をコメントしてくれることを期待しているのです。それが自分の仕事の成功確率を高めることになるからです。
唯一、僕が他の人の利益のためにやっているのは、 遠慮せず異論を言うこと です。でも、結局は自分が言いたいことを言うだけの自己満足です。自分の意見が反映されても、反映されなくてもどっちでも良いのです。
オープンにあえて共有するとはそーゆーこと!
これがインターネットの在り方です
「肥った豚よりも痩せたソクラテスになれ」という話もあるので、ぜひ一度引用元をご参照ください ↩