会社を作る時に決めておくと良いこと

相談を受けた会社にヒト・モノ・カネの観点で気になることを共有したメモ。ただし、モノ(商品・技術・プロダクト)は未だ定まっていない状況だったので割愛。

カネ観点

会社のゴール

売却 or IPO のどちらを目指すか?

  • 売却の場合は、想定売却額○○億円(=この金額を超えたら迷わず売却)
    • 基準額の見直しは、情報資産の価値をもとに行う。ただし、未来期待で欲を出さない。
  • IPOの場合は、実現可能な製品総需要のTAMと、短期的に狙えるセグメントからの売上目標

ビジネスのゴール

顧客の売上を増やす or 顧客の業務効率化(コスト削減)のどちらを目指すか?

資産/売上の序列

下記の順序で価値が高い。取引ごとに上位ランクされるものが得られるか問い立てる。

  1. ストック売上:18ヶ月〜24ヶ月が保証できる未来売上
    • SaaSにおける財務指標の月次チャーンレート換算で約4〜5%に相当
  2. 流動の情報資産:直接換金可能もしくはビジネス開発に利用できる情報
    • 顧客の行動履歴、マーケティングに使えるデータなど
  3. 固定の情報資産:特有の商慣習、業務フロー、関連法律などのドメイン知識
  4. フロー売上:ストック売上ではない一時的な売上
    • 初期費用での一括売上(キャッシュフロー観点では初期費用が重要)
    • 主軸事業に関係のない売上
    • 会社を潰さないための短期・単発売上
    • 参画メンバーの生活費(ラーメン代)稼ぎ

ヒト観点

組織構成

事業運営に必要な役割と各自の役割分担を決める

  • 創る:データを観る、顧客を知る、目指す方向を決める
    • 事業開発
    • 経理・財務
  • 作る:価値を届ける
    • 開発
    • 人事
    • 労務・総務・法務
  • 売る:知ってもらう、ファンを増やす
    • マーケティング
    • セールス
    • CS(カスタマーサクセス、カスタマーサポート)

グラウンドルール

話し合いで、必要なルールを決める。下記は一例。

  • 透明:数値、テキスト、図表で情報を可視化する
    • お互いに、嘘つかない、うそつかない、ウソつかない
  • 規律:会議や業務会話では、お互いに苗字「さん」付け、敬語を使う
    • お互いをビジネスパートナーと認識するため、元先輩後輩や元上司部下などの遠慮を排除するため
  • 快適:月1回は必ずみんなでご飯を食べる
  • 撤退:会社や事業が大変な時でも、家族と自身健康を第一優先すること
    • 困ったときはお互い様

バリューや文化というほどの大袈裟なものではなく、初期メンバーの間で認識を揃えるために決める。お互いの認識齟齬を削るためのルール。

共同創業者の役割

思ったほどうまくいかない時に、揉めたり、互いの関係に亀裂が入るので心構えとして。

  • 社長への関わり方
    • 孤独にさせない、周りに言えない悩みを相談できる状態
    • 率直にフィードバックする(フィードバックはFBI形式を推奨)
      • Feeling: 自分の気持ち
      • Behavior: 相手の振る舞い(発言、行動)
      • Impact: その振る舞いによる周囲(人間関係や組織、会社など)に与える影響
    • たまには褒める
  • ほかの共同創業者との関わり方
    • 勝手にお気持ち察するな
      • 違和感や引っ掛かりが出たら1on1で話す
      • もしも拗れたら、オブザーバーを1名立てる
    • 相手のことをわかったつもりになるな
      • 所詮は他人、些細なことでも確認する

懸念解消

  • 関係性の再構築
    • 元先輩後輩や元上司部下などの過去経緯のリセット
      • 簡単に切り替えられる人は珍しいので、まず形から入る
      • 敬称は互いに「さん」付け、敬語を使う
      • 意識しても行動は変わらない。順序が逆。行動を変えると意識が変わる。
  • 意思決定ルール
    • 意見が割れた場合の決議方法
      • 意思決定の遅れ、責任所在が曖昧な質の悪い意思決定を防ぐ
    • データが不足している時の決め方
      • データがあれば、データに従う。
      • データが足りなければ、一番考えている人が決める or 責任者(リーダー)が独断で決める
  • 相互理解のための客観的診断
    • ストレングスファインダー、ソーシャルタイプなど使う